オーストラリアの自動車安全性能評価を行うANCAPでスズキスイフトが星1*1を獲得しました
2024年にANCAPで評価が行われたクルマの中で一番評価が低かったことになります
スズキ スイフトの概要
スズキのコンパクトハッチバックです
2023年にFMCを行い、5代目となりました
現地では2024年5月にニュージーランドに導入、2024年6月にオーストラリアに導入されてます
ANCAP 安全評価結果
スコアは下記の通りとなっており、成人乗員保護レベルで47%、子供乗員保護レベルで59%、歩行者や自転車の保護レベルで76%、予防安全レベルで54%となってます
https://www.ancap.com.au/safety-ratings/suzuki/swift/0315bd
この数字だけではスコアの低さが分からないため、オーストラリアで販売されている同価格のコンパクトカーのヤリスとPoloでスコアを比較したいと思います
比較をしてみるとその安全評価のレベルの低さに驚きます
スコアレベル | スズキ | トヨタ | VW |
---|---|---|---|
スイフト | ヤリス | Polo | |
ANCAP安全評価 | 星1 | 星5 | 星5 |
成人乗員保護レベル | 47% | 86% | 94% |
子供の乗員保護レベル | 59% | 87% | 80% |
歩行者や自転車の保護レベル | 76% | 78% | 70% |
予防安全レベル | 54% | 87% | 70% |
さらに分かりやすいように、ヤリスとスイフト、Poloとスイフトでスコアがどのくらい乖離があるか比較してみたいと思います
それが下記の通りとなりスイフトと比較をすると、4つのスコアのうち成人乗員保護レベル・子供乗員保護レベル・予防安全レベルで非常に乖離があることが分かります
スコアレベル | スイフト | ヤリス | 両者比較 |
---|---|---|---|
成人乗員保護レベル | 47% | 86% | -39% |
子供の乗員保護レベル | 59% | 87% | -28% |
歩行者や自転車の保護レベル | 76% | 78% | -2% |
予防安全レベル | 54% | 87% | -33% |
スコアレベル | スイフト | Polo | 両者比較 |
---|---|---|---|
成人乗員保護レベル | 47% | 94% | -47% |
子供の乗員保護レベル | 59% | 80% | -21% |
歩行者や自転車の保護レベル | 76% | 70% | 6% |
予防安全レベル | 54% | 70% | -16% |
この数字を見てわかることは、スコアが低いクルマに乗るということはそれだけ乗員の安全性である確率が高まることが分かります
安全評価が低い理由の深堀り
安全性が低いと判断される装備の理由が3つあります
1つ目に側面衝突時に乗員を保護するセンターエアバッグが装備されないこと、2つ目に後退時の自動ブレーキが無いこと、3つめに後部座席の乗員検知システムが装備されないことです
現在販売されているクルマには標準装備されており、これらが無いことが安全評価を下げる要因となります
他にも衝突安全試験から分かることもあります
正面衝突時の後部座席の乗員保護が不足しており、衝突時に胸部圧迫が許容限度を超えるため不良と判断されています
同様に正面衝突および側面衝突時における後部座席の子供へも保護するレベルが低く、頭部と胸に保護が不足してます
まとめ
ANCAPは現地オーストラリアのモデルを対象とした安全評価です
そのため、日本で販売されるモデルがANCAPの評価の通り、直ちに星1であるとは判断できません
しかし、仕向の違いで安全性能を大きく変化を付けることは設計的に厳しいですし、より安全であったほうが販売面でも優位なため変化を付ける必要性もありません
より安全なクルマをユーザーは選ぶべきですし、メーカーはコストのために安全性を犠牲にしてはなりません
少なくとも、オーストラリアではスイフトに乗るということは他のクルマを選ぶよりも安全性が低いということを自覚すべきです
そして、低コストのために安全性を切り捨てるクルマを供給し続けるメーカーは悪です
*1:星5個が満点